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外国人材を「採れる店」は「定着する店」——選ばれる受け入れ体制の作り方

地方で人が採れない——その打開策として、外国人材の受け入れを考える店が増えています。ただ、ここで押さえておきたいことがあります。外国人材は「採用できれば終わり」ではない、ということです。

かつてのように受け入れた人が同じ職場に縛り付けられる時代ではなくなり、本人がより良い環境を求めて働き先を移ることも、制度上できるようになってきています。つまり、雑に受け入れれば、せっかく採っても出ていってしまう。逆に言えば、定着する体制を整えた店だけが、結果として採り続けられる店になるのです。「採れる店」と「定着する店」は、もはや同じものです。この記事では、選ばれ、定着される受け入れ体制をどう作るかを、一般論として解説します。

「受け入れたら終わり」が通用しない理由

外国人材の受け入れには、相応の時間とコストがかかります。手続き、住まいの確保、生活面の支援、教育——採用までにも採用後にも、日本人を雇う以上の手間が必要です。

それだけ投資して受け入れた人が、待遇や環境への不満からほどなく離れてしまえば、その投資は丸ごと無駄になります。しかも、本人がより良い条件の職場へ移ることが可能になった以上、「来てくれたのだから働き続けてくれるはず」という前提はもう成り立ちません。受け入れ後の環境づくりを怠る店は、採用と離脱を繰り返し、コストだけがかさんでいきます。定着を前提に体制を組むことは、もはや「親切」ではなく「経営の必須条件」です。

給与以外で都市部に勝てる軸を持つ

外国人材をめぐっては、地方の店は都市部の企業とも人材を奪い合います。給与水準だけで競えば、地方は不利です。だからこそ、給与以外の軸で「ここで働きたい」と思ってもらえる強みを持つことが鍵になります。

地方の店が勝てる軸は、たとえば次のようなものです。生活のしやすさ——住居費が安く、職場と住まいが近く、落ち着いて暮らせる環境。人とのつながり——大きな組織では得にくい、経営者や同僚との近い距離感、地域に受け入れられている実感。成長の見通し——任される仕事が増え、長く働けば技能も在留の安定も積み上がっていくという将来像。これらは、都市部の大規模事業者が必ずしも提供できないものです。給与で真っ向勝負するのではなく、地方ならではの強みを言葉にして示すことが、選ばれる店への第一歩です。

受け入れ初期に整える3つのこと

定着する体制は、受け入れの初期にどれだけ整えるかで大きく決まります。最初に押さえるべきは次の3つです。

1. 住まいと生活の土台

来日・着任の直後に、安心して暮らせる住まいと生活の段取りが整っているか。これは仕事以前の前提です。住居の確保、生活に必要な手続きの手助け、買い物や移動の不便への配慮——こうした土台がないと、どれだけ仕事の環境が良くても定着しません。生活が安定して初めて、人は仕事に集中できます。

2. 言葉と仕事の伝え方

言葉の壁は、本人の努力だけに任せるものではありません。店の側も、伝え方を工夫する責任があります。手順を写真や動画で示す、やさしい日本語で説明する、要点を母語でも補う——こうした工夫は、外国人材だけでなく、新人全員にとって分かりやすい職場づくりにつながります。仕事を覚えやすい店は、それ自体が定着率の高い店です。

3. 孤立させないつながり

職場でも地域でも、孤立は離脱の最大の原因です。困ったときに相談できる相手、悩みを話せる同僚、地域とのつながり——こうした関係を、本人任せにせず店が意図的に作ることが大切です。「ここには自分の居場所がある」と感じられるかどうかが、長く働き続けられるかを左右します。

「採れる店」になるために、まず「定着する店」になる

外国人材の受け入れは、採用がゴールではなく、定着までを含めて初めて投資が回収できる取り組みです。生活の土台を整え、伝え方を工夫し、孤立させないつながりを作る——この受け入れ体制こそが、給与だけでは勝てない地方の店が、都市部との競争を勝ち抜く武器になります。

そして、定着する店には評判が立ち、「あの店なら長く働ける」という口づてが、次の人材を呼び込みます。採れる店になりたいなら、まず定着する店になること。順番はいつも、そちらが先です。

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