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フォロワー数を追うのをやめよう——来店に直結する3つの数字だけ見る

「Instagramを1年続けて、フォロワーが800人まで増えました。投稿には毎回30〜50のいいねがつきます。でも、来店が増えた実感がないんです」——よく聞く相談です。頑張って投稿し、数字も伸びている。なのに売上に響かない。何が間違っているのでしょうか。

答えは身も蓋もないのですが、追っている数字を間違えているのです。フォロワー数といいね数は、増えても来店にほとんど結びつきません。この記事では、なぜその2つを捨てるべきか、そして代わりに何を見れば来店が動くのかを、すぐ使えるフレームと売上の数式に落とし込んで解説します。

なぜフォロワー数といいねを捨てるのか

まず、追うのをやめるべき2つの数字から。

フォロワー数。Instagramは今、フォロワー以外への拡散(発見タブやリール、検索)を優先する方向に変わっています。フォロワーが少なくても、保存・シェアが多い投稿は新規に届く。逆にフォロワー1万人でも、保存・シェアがゼロの投稿はフォロワー以外にほぼ届きません。しかもフォロワーの「質」もバラバラで、地元客が100人、来店圏外が9,900人なら、来店への寄与はわずかです。フォロワー数の絶対値は、経営判断の材料になりません。

いいね数も同じ問題を抱えています。いいねは指を一度動かすだけの最も軽い反応で、来店意図とはほぼ無関係。いいね100件の投稿より、保存20件の投稿のほうが来店につながります。

代わりに見るべきは、来店意図がにじむ数字です。

保存数:「後でこの店に行きたい」という意思表示 シェア数:「友達に教えたい」という強い推奨 Googleマップのルート検索数:「店までの道順を調べた」——来店意図の最強シグナル

飲食店デジタルマーケティング実務書(仮題)第8章

これらはすべて、Instagramのインサイトやビジネスプロフィールの管理画面で確認できます。「やった気」を「数字で測る」に変える第一歩は、見る数字をこちらに切り替えることです。

まず追うのは「3つの数字」だけ

とはいえ、いきなり大量の指標を見ようとすると挫折します。経営者が最優先で追うべきは、たった3つです。

  1. Googleマップの電話発信数——来店意図の最強シグナル。この数字が増えていれば、デジタル運用は機能しています。
  2. Instagramの保存数——「後で行きたい」リストに入った回数。新規客の予備軍です。
  3. クチコミの平均評価——検証段階での「選ばれやすさ」を示す数字です。

この3つを月次で追うだけで、運用の効果は十分見えます。残りは余裕が出てから足せばいい。まずはこの3つから始めてください。

全体像を捉える「3×3×3 KPIフレーム」

3つに慣れて、もっと精密に見たくなったら、本書の「3×3×3 KPIフレーム」が地図になります。3つの段階 × 3つのチャネル=9つのKPIという構造です。

縦軸は3つのチャネル(Instagram/Googleマップ/クチコミ)、横軸は客が来店に至る3つの段階です。

  • 発見(店の存在を知ってもらう):Instagramのリーチ数、Googleマップの表示回数、月間クチコミ増加数
  • 検証(来店候補に入れるか判断する):Instagramの保存数、Googleマップの写真表示回数、クチコミ平均評価
  • 予約・来店(実際に行動する):Instagramのウェブサイトクリック、Googleマップの電話発信数、予約数

9つを表にすると、自店のどの段階・どのチャネルが弱いのかが一目で見えます。たとえば「発見(リーチ・表示回数)は多いのに検証(保存・写真表示)で落ちている」なら、写真やコンテンツの魅力に課題がある。「検証は良いのに予約・来店が伸びない」なら、電話導線や予約のしやすさに穴がある。数字の落ちている場所が、次に手を打つべき場所を教えてくれます。

各KPIには「維持/標準/挑戦」の3段階の月次目標を置きます。最初の月は目標を立てず「現状の数値を記録するだけ」で十分。目標設定は2ヶ月目からで構いません。

数字を「売上」につなげる分解式

KPIは、最終的に売上につながらなければ意味がありません。そこで、飲食店の売上をシンプルな式で分解します。

売上 = 新規客数 × 客単価 + リピート客数 × 来店頻度 × 客単価

この式の各要素に、デジタル施策とKPIを対応させると、自分の打ち手が売上のどこに効くのかが見えてきます。

  • 新規客数:Instagramの発見、Googleマップの発見が効く → リーチ数・表示回数・電話発信数で測る
  • 客単価:ブランディング(店の哲学や物語の伝え方)が効く
  • リピート客数:公式LINEやフォローによる関係維持が効く
  • 来店頻度:投稿やメッセージ配信の頻度が効く

たとえば月商60万円ほどの店(新規100人・客単価1,200円・リピート200人が月2回)が、半年で新規客+50%、客単価+8%、リピート+10%を狙うと、計算上は月売上が約80万円、+33%になります。もちろんこれは「目標」であって「保証」ではありません。ただ、3×3×3 KPIで毎月測っていれば、この目標に近づいているかどうかが毎月見える。ここが決定的に違います。

逆に言えば、数字がなければ判断はできません。ルート検索数が3ヶ月連続で減っているのか、保存数が安定して増えているのか、クチコミ評価が4.0を切ったのか——こうした事実がなければ、「なんとなく上手くいっていない気がする」で終わってしまい、改善のしようがないのです。

月1回30分の振り返りで回す

最後に、これを続ける仕組みです。難しく考える必要はありません。月初に一度、30分の振り返りをするだけです。

1ページのテンプレートに、最優先3KPI(電話発信・保存数・平均評価)の今月実績と先月実績、目標達成度(維持/標準/挑戦)を書く。そこに「良かった点」「課題」「反応の良かった投稿」を1〜2点ずつ、来月の改善アクションを1点添える。完璧に全項目を埋める必要はなく、30分で終わらせます。

これを3〜6ヶ月ためると、トレンドが見えてきます。「電話発信が右肩上がり」「保存は横ばい」「仕込み動画が保存されやすい」——こうした自店固有のパターンは、メニュー設計や人員配置にも活きる経営資産になります。スタッフと数字を共有すれば、「マーケティングは経営者だけの仕事」から「みんなで取り組む仕事」に変わります。

まとめ

フォロワー1万人は、目指すほどの価値がありません。いいねの数も同じです。来店を動かすのは、電話発信数・保存数・平均評価という3つの数字です。

まずこの3つを月次で追う。慣れたら3×3×3 KPIフレームで9つに広げ、弱い場所を特定する。そして売上分解式で、自分の打ち手が売上のどこに効くのかを結びつける。月1回30分の振り返りを半年続ければ、「やった気」は確かな「数字で測る」運用に変わります。

今日できることはひとつ。インサイトを開いて、フォロワー数ではなく今月の保存数とルート検索数をメモすることです。それが、店を変える最初の一歩になります。

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