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Z世代は食べログを見ない——世代別「店の探し方」が逆転していた

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「うちはちゃんとグルメサイトに載せているのに、若い客が増えない」。地方の飲食店で、こうした声をよく聞きます。一方で、年配の常連には「最近この店どうやって知ったの」と尋ねると「ネットの地図で出てきたから」と返ってくる。同じ店をめぐって、世代によって「見つけ方」がまるで違う。

これは感覚の問題ではなく、構造の問題です。世代によって、店を探すときに使う道具の順番が逆転している。この逆転を知らないまま「とりあえずグルメサイトに載せておけば全世代に届く」と考えると、ある世代にはまったく届いていない、という事態が起こります。この記事では、世代ごとの「探し方」の違いと、そこから導かれるチャネル選びの考え方を整理します。

Z世代の店探しは「SNSで完結」している

まず、もっとも変化が大きいZ世代(おおよそ18〜28歳)から見ていきます。この世代の飲食店探しは、SNSが圧倒的な主役です。書籍が引く調査では、Z世代が店を探すときの起点はInstagramが半数を超えて最多で、TikTokも一定の存在感を持つ一方、グルメサイトの利用は1割前後にまで落ち込んでいます。上の世代の感覚からすると、にわかには信じがたい数字かもしれません。

さらに注目すべきは「情報の保存の仕方」です。Z世代は気になった店を、SNSアプリ内の保存機能やスクリーンショット、地図アプリのピン留めでストックします。つまり、彼らの「行きたい店リスト」は、グルメサイトのブックマークではなく、SNSや地図アプリの中にある。

この行動が意味することを、店側は正確に理解しておく必要があります。Z世代の客は、店のSNS投稿を見て「保存」し、次の週末に「保存した店リスト」を開いて行き先を決める。この一連の流れの中に、グルメサイトは一度も登場しません。SNSで見つけ、SNSで保存し、地図アプリで場所を確かめて来店する——グルメサイトを経由しないルートが、すでに完全に成立しているのです。逆に言えば、SNSに魅力的な投稿がなければ、Z世代の「行きたい店リスト」に入る機会そのものを失っています。

上の世代は「逆向き」に探している

一方、ミレニアル世代(20代後半〜30代)になると、様相が変わります。この世代はSNS・グルメサイト・地図アプリを併用するのが標準です。SNSで店を発見し、グルメサイトで写真や点数を確かめて予約する。発見はSNS、検証と予約はグルメサイトという、いわば両刀使いの典型です。

さらに40代以上になると、グルメサイトの利用経験が高い水準で残ります。「宴会の幹事をグルメサイトでやった経験」が習慣として定着している世代で、団体・接待のような場面ではいまもグルメサイトが頼りにされます。ここだけを見れば「上の世代=グルメサイト」という従来のイメージは正しい。

つまり、Z世代は「地図アプリ・SNS優位」、上の世代は「グルメサイト優位」。同じ店探しでも、主役のチャネルがちょうど逆向きになっている。これが「逆転構造」です。

ただし「地図アプリ」は全世代で広がっている

ここで一点、見落としてはならない事実があります。地図アプリの利用は、Z世代だけのものではなく、全世代で着実に広がっているということです。

週末に家族で外食しようというとき、40代の親が「近くの寿司屋」とスマートフォンに話しかけ、地図アプリの結果に並ぶ星の数と写真を見て行き先を決める——こうした場面は、いまや世代を問わず日常になりました。この瞬間、グルメサイトの点数も有料プランも関係していません。表示されるのは、地図アプリ上の評価と写真と店舗情報です。

だから「逆転構造」は固定されたものではなく、上の世代の側も少しずつZ世代の探し方に近づいています。差は年々縮まっている。いま店側が備えるべきは、どの世代の客が来ても困らないチャネル設計です。

自店の客層から、チャネル配分を逆算する

この逆転構造を踏まえると、チャネル選びの考え方は明確になります。「流行っているから」ではなく、自分の店に来る客層から逆算するのです。

若い客を増やしたい、あるいはもともと若い層が中心の店なら、グルメサイトに力を注ぐより先に、SNSの投稿と地図アプリの整備に手を入れるべきです。SNSに「保存したくなる」投稿がなければ、Z世代の行きたいリストには永遠に入りません。逆に、団体客や接待需要、年配の常連が支えている店なら、グルメサイトの予約導線にはなお価値があります。それを切る必要はない。

そして、どんな客層であっても、地図アプリの情報整備だけは全世代に効く共通の土台です。営業時間、写真、メニュー、クチコミへの返信——ここが整っているかどうかは、若者にも年配にも等しく見られています。

「グルメサイトに載せれば全世代に届く」という前提は、もう成り立ちません。世代ごとに探し方が逆転しているからこそ、自店の客層を見極め、効くチャネルに資源を集中させる。

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